96 :名無しさん@おーぷん
美人の武勇伝。
会社の同僚A子。当時20代後半。長澤まさみ似の美人。結婚することになった。
私を含めて課の全員が披露宴に招待され、「その幸運な男の顔を拝もう」と、いそいそ出席。
輝くばかりに美しい新婦の隣には、ものすごく影の薄い新郎。
今ここで会って、明日になったらもう顔が思い出せない。例えば警察とかに「どんな人でした?」と訊かれても答えられない。
そんな感じ。A子が一度会ったら忘れられない美人だから、ある意味つり合いは取れてるかもね、と話し合った。

1年ほどして、A子が何となく元気がない。ランチに誘って「このごろ疲れてない?忙しい?」と訊いてみた。
A子はもごもごしていたが、やがて「うーん、あのねえ、旦那が、浮気してるの……」。
あの影薄男が!? いい度胸だな!!
しかも浮気相手の女が本気になったらしく、A子に電話やメールで「旦那と別れて」と言ってきているとか。
浮気相手もいい度胸だな!!

しばらくして、A子が私に頼みがあるという。なんと、かの浮気相手が、A子と直接会って話したいと。
A子「会おうと思うんだけど、できれば、“私”さんについてきてもらえればありがたいんだけど……」
私「なんでっ!? 部外者がいたら、話ができないんじゃない?」
A子「録音はするつもりだけど、証人も欲しいし……。それにもし、相手が逆上して、刃物とか持ってたら怖いし」
つまり、心細くて不安だってことだ。私は「なるほど。じゃ一緒に行く」とOKする。
不謹慎ながら、こりゃ本物の修羅場が拝める、と内心ドキドキワクワクしていた。
97 :名無しさん@おーぷん
96の続き。結局、修羅場にはならなかった。
A子旦那の浮気相手との会見当日。場所はファミレス。私は1人で、あくまで無関係な客を装って、
2人の会見を近くの席から見ていて、騒ぎが何もなければそれでよし、何か起きたら止めに入る、ということになる。
私は指定の時間の10分ほど前に店に入る。それらしい女はまだいない。
時間ちょうどに、若い女が1人で入ってくる。こいつか。さりげなく観察。
これがまた、ものすごく影の薄い女。今ここで会って、明日になったらもう顔が思い出せない……(以下略)。
私は不謹慎ながら、「あの影薄男にしてみると、毎日家でローストビーフを食べてると、外でお茶漬けとか
食べたくなるようなことなのかなあ」と考える。

5分ほど遅れて、A子登場。びしっとスーツで決めて、気合の入った化粧して、店内を見回す。
影薄女を見つけ、ハイヒールのかかとをカッカツと鳴らして近づき、仁王立ち。
女を見下ろして、「“影薄女”さん? “影薄男”の家内です」。
影薄女、A子を見上げると、その目がたちまちうるみ、両手で口を覆い、
「ひどいっ!!」と一言叫ぶなり、席を立って、走って出て行ってしまった。
瞬殺。ざまあみろ、身のほど知らずめ。

A子は「人の顔見て、ひどいって何よ」と怒っていたが、いやいや違うって、逆だって。
そしてその日から、女とは全く連絡が取れなくなった。A子の旦那=影薄男は、仕方がないので
A子のもとに戻ってこようとしたが、追い出された。当たり前だ。
やっぱり「毎日家でローストビーフを……(以下略)」みたいなことを言い訳していたらしい。
なんだかんだ言っても、美人は強い。
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